「ザーラ、乗らないかい?」双子の姉の名前を呼ばれ、振り向いたアリアナは、車の運転席を見て言葉を失った。マーク! そこにいたのは1ヶ月前に別れた元婚約者だった。マークは容姿も学歴も職業も非の打ちどろこがなく、アリアナ自身何が不満なのかわからないまま、彼女のほうから婚約を解消した。本当なら、今ごろハネムーンへ行っているはずだったが、アリアナはザーラの住むアスペンに来ていた。マークはここで何をしているのだろう。しかも一卵性双子児とはいえ、私とザーラを間違えるなんて。「君に会いに来たんだよ、ザーラ」そう言って、誘うような笑顔を向けた彼は、アリアナの知っている真面目なマークではなかった。どういうこと? マークは姉を誘惑しに来たの?
#並~並下程度/表紙に少し傷あり。小口ヤケあり。(強)少しページヤケあり。
#110g