忘れもしない十七歳のあの日、ヘスターは社交界を去った。スキャンダルとなった事件そのものより、好意を持ってくれていると信じていたダンガラン卿に手ひどく非難されたことが、何よりも彼女を傷つけた。あれから六年が経ち、ヘスターは両親に説得されて再び社交界に出ようとしている―欲しくもない夫を探すために!だが上流社会の男たちときたら、女性に知性など求めていない。美しい顔と従順な性格こそが理想の花嫁の条件だと、うそぶいている。ヘスターは憂鬱だった。夜会に行けば必ずダンガラン卿に会う。そのとき、わたしは平気でいられるだろうか。
#並下程度/表紙に傷あり。小口ヤケあり。少しページヤケあり。
#120g