シリーニは一人庭園のベンチに座り、ただ時が過ぎるのを待った。父の政敵の資金集めパーティーにもぐりこんだものの、命じられたとおりにスパイ行為を働く気になれなかったのだ。「君は幽霊ではないんだね?」振り返ると、タキシードに身を包んだすてきな男性がいた。男性はこのホテルの庭園に出るという幽霊の話を皮切りに、歴史や伝説を語り、心から楽しませてくれた。やがて二人はあらがえぬ魔力に導かれるように踊り、口づけをする。しかし男性の名を聞いたとき、シリーニは慄然とした。アダム・ダンフォース?彼が政敵の息子だったなんて。
#並程度/表紙に少し傷あり。少し小口ヤケあり。
#90g