《放蕩貴族の素顔(Ⅲ)》
愛はつかのまの夢。夢ならば見ないほうがいい。レディ・ジュリアナはロンドン社交界でも一風変わった存在だった。たとえば自ら裸になってフルーツやクリームを身にまとい、銀の皿に載って晩餐の席に登場するなどという奇行で知られ、余興の度が過ぎるというので誰も彼女に求婚する者はいなかった。実は彼女には十四歳のとき結婚を約束した相手がおり、もし三十歳になっても独身だったら、彼が目の前に現れることになっている。ふしだらに振る舞うのはそのためだったのだ。そして今年、ジュリアナは三十歳になった。
#並~並下程度/表紙に傷あり。裏表紙に傷あり。小口ヤケあり。少しページヤケあり。
#160g