クレアは一枚の写真をつかみ、ジェイムズの帰りを待っていた。彼と腕を組んで写っているこの背の高い金髪の女性はだれ?ジェイムズと関係を持つようになって九カ月。だけど彼のことは何も知らない。彼が私を相手にしたこと自体、不思議だ。富と権力と美貌を備えたジェイムズに対し、私はごく平凡な女。彼と知り合ったのも、臨時の仕事として屋敷の掃除婦をしたからだ。帰宅したジェイムズは、写真の女性は死んだ妻だと不機嫌に言った。話す必要がなかったから話さなかったのだと。「君と僕の関係はただ肉体的なものだ。僕はもうだれも愛せない」彼は冷たく続けると、クレアのブラウスに手をかけた。ジェイムズの愛撫を期待しながらも、クレアは初めて彼に抵抗した。
#並~並下程度/表紙に傷あり。裏表紙に傷あり。小口ヤケあり。少し小口ヤケあり。
#90g