◆ チャイナ・ドール
遠い彼方の東洋の海を思わせるブルーの瞳、陶器の人形のような透ける白い肌―見かけは西洋人だがブラッサムの心はあくまでも中国人の奴隷だった。幼いころ海賊に親を殺され、広東の商人に引き取られた彼女は、優しい主人ウーの家で東洋人の召使いとして育てられた。二十歳になった今、破産寸前の主人の経済状態を知り、恩を返すときだと悟った。清い体のわたしなら、西洋人に高く売れるはず。申し出は聞き入れられ、ブラッサムは長いあいだ船に揺られて、ロンドンの新しい主人のもとにたどり着いた。大柄でたくましいダーシー・フィッツロイのもとに。彼はブラッサムがウーの返済金と聞いて眉をひそめたが、その目に見据えられたとたん、なぜか彼女の体が熱くなった。今夜、わたしは彼のものになる。それが奴隷の務め。広東一の娼婦に習ったあらゆる手法を使って、ご主人さまを喜ばせるのだ。
#並程度/表紙に傷あり。
#150g