モアランド子爵は“幽霊”に飽き飽きしていた。有名な幽霊屋敷のトリックを見破ったせいで、幽霊退治の依頼が次から次へと舞い込んでくるのだ。今日もまた一通の手紙が届き、捨てようとして、ふと思いとどまった。便箋から漂う甘い香りに、なぜか心がときめく…。思いきってデヴォン州の古い屋敷へ向かうと、依頼人は意外なことに、冷たい態度で彼を出迎えた。うら若い女性だというのに、地味な服装で厳しい表情を浮かべている。そしてほのかな香りをまとっている― どこか懐かしいライラックの香りを。稀代の人気作家が19世紀を舞台に咲かせる、匂いたつ恋の花。
#並下程度/表紙カバーに傷あり。小口ヤケあり。(強)少しページヤケあり。
#220g