《黒薔薇の騎士(Ⅲ)》シリーズ
「わたしはそんなご褒美は約束していない。熱にうかされたか?」領主セットン卿にののしられて、ばーなーどは自分の耳を疑った。あのとき彼の聖地出征の条件に、確かにセットンは報酬を約束した。無事戻ったあかつきには、末娘クレアと領地が授けられるはずだった。バーナードが4年にわたって東方の戦場で生き抜いてこられたのも、騎士仲間5人の友情と、その約束があったからだ。司教の立会いのもと、神と交した誓いに知らぬふりを通す気か? 怒りに燃えるバーナードは求めるものを手に入れるべく行動を起こした。機を見てクレアを捕まえ、愛馬とともに城を飛び出したのだ。身代金さえ受け取れば、彼女を解放しよう。いまと同じ無垢のままで。だが、心の底ではわかっていた・・・彼女を手放すことなどできないと。
#並~並下程度/表紙擦れ傷あり。小口ヤケ・シミあり。紙の変色あり。
#160g