「とうとう来ちゃったんだわ」サンフランシスコ第一夜。赤いパンツに白のウエスト丈の革のジャケット、肩口できっちりと揃えられた黒髪が印象的な杉本沙羅はホテルの一室で呟いていた。旅の緊張をゆるめると、スーツケースのなかには見慣れぬ服と大きな茶色の封筒が入っていて沙羅の荷物は忽然と消え失せていた。「ずいぶん無用心じゃないか」呆然とする沙羅の背中で突然声が響いた。ふり返ると、そこには黒いトレンチコートをはおった男がひとり。右手も拳銃をぴたりと沙羅をねらっている。
#並~並下程度/表紙に読み折れ・汚れ・傷あり。小口ウアケ・シミあり。(強)
#130g