《富豪一族の肖像(Ⅶ)》
その古い家に引っ越してきた当初から、ジェーンは壁にかけられた肖像画が気になって仕方がなかった。描かれているのは黒髪の男性―百年前ここに住んでいたという天才科学者、ザカリヤ・ボルトンだ。彼はタイムマシンの開発に没頭していたが、息子が死ぬと悲嘆に暮れ、忽然と姿を消したらしい。ある日、大きな物音を聞きつけてベッドルームへ駆けつけると、黒髪の男性が苦しげにうずくまっていた。彼の顔を見た瞬間、ジェーンの心臓は早鐘を打ち始めた。なんてこと… 肖像画の男性にそっくりだわ。
#並下程度/表紙に傷あり。小口ヤケあり。(強)ページヤケあり。
#120g