パティシエであるマリアの夢は自分の店を持つこと。ようやく夢を叶えられそうなところまできたものの、店がなかなか見つからず苦労していたが、ついに理想の物件を見つける。喜ぶマリアだったがある男性と再会したことで状況は一変した。相手はケイン侯爵ことフィリップ・ホーソン。彼とマリアは次期侯爵と料理人の娘という身分を越えた幼なじみだったが、12年前のある事件以来、顔を合わせていなかった。彼が店の持ち主だと知ったマリアは交渉するがフィリップはどうしても貸そうとはしない。12年も前のことを引きずって自分の夢を邪魔しようとするフィリップにマリアは憤慨する。一方、フィリップがマリアを遠ざけたい理由は昔の事件だけではなかった。あの頃、冷静沈着で知られる自分の心をかき乱すことができるのはマリアだけで、彼はそれをひた隠しにしてきたのだ。それがマリアの甘い香りをかいだとたん、心の奥底にしまったはずの恋がよみがえったのだった―。心を隠したフィリップと夢を叶えようとするマリア。いがみ合いながらも惹かれてしまうふたりは…。
#並~並下程度/表紙カバーに少し傷あり。
#230g