孤児のマリアンは後見人のカーステアズから突然、知り合いの家に行くようにと告げられた。マリアンは愚かにも、親切な老紳士にちがいないと思いこんだ。ところが、彼女を引き取ったピーター・デズモンドは、野性的で、略奪者という言葉がぴったりの若い男。ポーカーでマリアンの“後見人”の権利を賭けたカーステアズを、みごと打ち負かしたのだ。しかも、マリアンを夜とぎの相手と―高級娼婦と信じきっていた。デズモンドの家を訪れたマリアンはさっそく寝室に案内され、彼は当然とばかりに行為に及ぼうとした。そのとき、マリアンのぎゅっと閉じたまぶたの下から涙がこぼれた。これはどういうことだ?約束が違うじゃないか。どこか腑に落ちないものを感じて、デズモンドは尋ねた。「年はいくつだ、マリアン?」「十六歳」マリアンはささやくように答えた。
#並~並下程度/表紙カバーに傷あり。小口ヤケあり。
#190g