ウエディング・オークション(Ⅲ)》
ボランティア・オークションでレベッカを競り落としたのは、ホテルチェーンを経営するローガンだった。新たなホテルのオープニング・セレモニーを成功させるため、アシスタントを探していたのだ。高価なドレスをまとい、洗練された女性を演じてほしい。彼の要求はレベッカにつらい過去を思い出させた。理想の娘、理想の妻になれと強制された日々のことを…。だが仕事ならば仕方ない。割りきって働いてみせる。懸命に努力するレベッカを、ローガンは優しく見守っていた。彼は思いやりがあり、大切に扱ってくれる。そう、まるで壊れやすい陶磁器を手にしているときのように。しだいにレベッカは、それでは物足りなくなっていた。
#並下程度/表紙に傷あり。小口ヤケあり。(強)ページヤケあり。
#90g