雇主に関係を迫られて逃げ出したコンパニオンのネルは、乗り込んだ馬車が横転して席から放り出され、気づくと見知らぬ男性の腕の中にいた。偶然乗り合わせた裕福な身なりのそのハンサムな紳士は、魅入られたようにネルを見つめ、いきなり唇を奪った。そして我に返るなり、あわてて彼女を解放して恥じ入った。ネルはそんな実直そうな姿にときめくが、彼が社交界で噂の的のブロムウェル子爵だとわかり青ざめる。追われる身となった今、目立つわけにはいかないのに…。自己紹介を迫られ、困ったネルはとっさに偽りの名を口にした―。ネルが告げた名前は偶然にも公爵令嬢のもの。彼女はその場をやり過ごそうとするが、誤算は子爵が窮地にいる女性を放っておけないほど親切なことだった。
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#130g